会社の経営責任を担うトップにとって気を使う仕事がキャッシュフロー管理です。
企業は日々様々な方面でお金が動いていて、そのお金の流れを把握して管理するのがキャッシュフロー管理です。
キャッシュフロー管理に失敗するとある日突然会社が倒産してしまう危険がありますから、経営者としては絶対に気を抜けません。
本章ではキャッシュフロー管理の重要性と管理方法について解説していきます。
企業活動におけるキャッシュフロー管理の重要性

事業資金が会社の血液と呼ばれるのは、一瞬たりとも枯渇させてはならないからです。
人間の体も常に血液が循環していて、もし血液の流れが止まったら死んでしまいます。
会社における資金の流れもこれと同じで、事業をする上では必ず売り上げ等から入ってくる入金があり、仕入れ等による支払いも同時並行的に行われています。
仮にこの流れが止まるということは事業そのものがストップすることを意味します。
事業を行う以上は必ずお金の流れがあるはずで、基本的には出ていくお金よりも入ってくるお金の方が大きくなければ経営は上手くいっていないことになります。
この点、キャッシュフロー管理では黒字倒産の回避が重要なキーワードになります。
会計上で黒字経営ができていたとしても、手元資金として使えるキャッシュがないと必要な支払ができず、焦げ付きを起こして黒字倒産ということになりかねません。
企業は仕入れ、販売両面で多くの取引先を抱えていますから、そのそれぞれの取引先ごとに支払いと入金の期日が設定されます。
国内のほとんどの事業者は掛け取引を行っていますから、自社の製品やサービスの納入時にすぐに代金を頂くことができません。
支出をしたうえで仕入れを行い、製品を納入してもその時点ではお代を頂けないので、実際に支払いを受けるまでに他の資金需要が生じると資金不足となる危険が出てきます。
そのようなことにならないようにキャッシュフロー管理が求められるわけです。
ただ、気を付けていてもキャッシュフローの悪化は経営上どうしても起きてしまうことがあります。
問題はその際に早期に気づけるかどうかです。
次の項ではキャッシュフローが悪化する要因について見ていきます。
キャッシュフローはなぜ悪化する?

キャッシュフローが悪化する要因は以下のように複数存在します。
①売り上げ不振
キャッシュフローはお金の流入があればプラスに、お金が流出すればマイナスに動きます。
売り上げ不振により流入するキャッシュが少なくなったとしても、仕入れにかかる資金の流出や人件費、テナント代など経常費の支払いで資金の流出は基本的に止まりません。
その結果キャッシュフローが悪化することになります。
②多すぎる投資
キャッシュフローにおける投資とは利益を生みだすための準備に掛ける費用であり、例えば店舗用不動産や工場機械など利益を生みだす原動力となる資産の購入があります。
不相応に多額の投資をしたり、投資した結果として予定したリターンの収入が思うように入らなかった場合にキャッシュフローが悪化します。
③貸し倒れ
掛け取引は信用があって成り立つものですが、もし資金を回収する前に売掛先が倒産するなどして貸し倒れが起きると予定した収入がなくなりキャッシュフローが悪化します。
貸し倒れが起きてしまった場合、一定の条件を満たせば税務処理上で損金算入ができるので、被害の軽減が可能です。
会社更生法による更生計画が認可され法的に事業整理が確定したような場合は全額の損金算入が可能です。
また定期的に取引のある相手であり、かつその企業の資産状況から見て資金の回収が不可能だと認められる場合も損金算入が可能です。
ただし一部だけの回収不能ではなく、全額の回収が不可能と判断される状況でないと損金算入は認められません。
④売掛金の回収遅延
倒産や会社更生など法的整理に進む前の段階でも、単純に売掛金の回収遅延によって資金の流入が無くなりますからキャッシュフローが悪化します。
ここで一つ、売掛債権管理に役立つ財務指標についてお伝えします。
売掛債権を回収する速さを示す指標に売掛債権回転率があり、回転率が高いほど、売掛金が効率的に回収されることを示します。
売掛債権回転率は以下のように計算します。
売掛債権回転率=売上高/売掛債権価額
例えば売上高が1000万円で売掛債権の額が200万円の場合、1000万÷200万円=4回転ということになります。
この数字が大きくなるほど効率的な回収ができていて、小さくなると効率が悪いことになります。
前々期、前期、当期など年スパンで比較して、数値が小さくなっていくようであれば非効率化していることを意味しますから何らかの改善策を講じる必要があります。
なお、売掛債権を回収するまでの期間を示す指標もあり、こちらは「売上債権回転期間」といいます。
日数で示す場合、売上債権回転日数として以下のような算式で計算します。
売上債権回転日数=売掛債権の価額/(売上高÷365日)
売上高などは上の数字を使うとすると売上債権回転日数は73.0日ということになります。
製造業など支払いに時間を要する業種であればまだしも、一般商社だと長いと判断できますから、何らの手を打つ必要があるでしょう。
キャッシュフロー管理には資金繰り表の作成が有効

日常におけるキャッシュフローの管理には資金繰り表を作成するのが有効です。
資金繰り表は、会社を運営するにあたって収入面と支出面の資金の流れを目で見て分かるように可視化したものです。
売り上げが実際に入ってくる売掛金の支払日と、支払い面の期日などを表にしてまとめます。
こうすることで将来的にキャッシュの枯渇が起きそうな気配があれば、事前に借り入れをしたりファクタリングでキャッシュを作っておくなどして対処することができます。
この点、借り入れをすると結局将来的には利息を乗せて返さなくてはならないので、その時点でキャッシュの流出が起きフローはマイナスに動きます。
その時に仕入れにかかる経費などを支払えなくなると結局はトラブルになるので、キャッシュフローを安定させるには借り入れよりもファクタリングがお勧めできます。
ファクタリングは返済の必要がありませんから、将来的にキャッシュの流出が起きることはなく、キャッシュフローを安定させることができます。
なお資金繰り表と似たものにキャッシュフロー計算書があります。
資金繰り表は将来における入金と支出の予定をまとめたものですが、キャッシュフロー計算書は過去のキャッシュの増減をまとめたもので両者は別物です。
キャッシュフロー計算書は上場企業以外は基本的に作成の義務がないので中小企業では話題に出ることが少ないですが、第三の財務諸表として経営課題の把握に役立てることができます。
ただしキャッシュフロー計算書は過去のキャッシュの動向をまとめるものですので、将来的な資金ショートを予測するような使い方はできません。
まとめ
本章ではキャッシュフロー管理の重要性と管理方法について見てきました。
経営者にとってキャッシュフロー管理は最重要課題といっていいほどの注意を払うべき項目で、資金枯渇を起こさないように日々の資金の流れを確認できるようにしておくことが肝要です。
特に資金体力のない中小企業では一旦資金ショートが起きるとそのまま倒産への道をたどる可能性が高いので注意が必要です。
キャッシュフローが悪化する要因はいくつかありますが、掛け取引をする事業者は売掛金の回収がおろそかにならないように配慮が求められます。
キャッシュフロー管理においては資金繰り表の作成が有効ですので、ぜひ作成するようにしてください。