ここ数年、日本国内は物価高の状況が続いており、国民生活に大きな影響を及ぼしています。
物価高は個人の生活だけでなく企業の経営にも影響し、資金量の動きが大きい事業レベルではその影響も大きくなります。
金利の上昇による正の循環も生まれようとしている転換期にある中、事業者として目前の物価高とどう付き合っていけば良いのでしょうか。
本章ではインフレ・金利上昇時代の経営について、課題や対応のポイントについて見ていきます。
インフレ・金利上昇が企業経営にもたらす影響
企業活動においては資材等を仕入れたり商品を加工、保管したりする際に各種の費用がかかります。
これらの費用は物価高の影響で軒並み値上がりしている状況で、経営の負担になっています。
具体的にどのような負担が生じているのか種目別に見てみます。
①仕入コストの増加
仕入にかかる原材料費はこれを生産する企業のコストが増加していることから連動して値上り傾向にあります。
企業間において値上りの連鎖が見られる状況です。
②燃料コストの増加
電気やガスなどの燃料コストは依然高止まりが続いている状況です。
ガソリン代の高騰も続いており、元々は海外の紛争が原因で高値となっていたものですが、これがすでに慢性化していて改善の兆しがなかなか見えません。
この方面ではアメリカのトランプ政権の動向が注目されるところで、ロシア・ウクライナ紛争を力ずくでも止めてしまいそうな勢いなので、これにより海外輸入経由の燃料価格が早く落ち着いてくれればと願います。
またアメリカ経由で天然ガスの輸入を強化する約束が石破首相とトランプ大統領の間で交わされたようですので、ロシアに依存しないガス燃料の安定供給が強まる期待も持たれます。
とかく我が国は燃料については脆弱ですので、国際関係にも配慮しつつ安定した輸入体制の強化が望まれます。
③為替のリスク
資材の多くを海外から輸入している我が国では為替の影響を強く受けます。
円安が常態化している現状で輸入企業は為替の影響を強く受けるので、適切に価格転嫁できないと事業利益を圧迫します。
当然、価格転嫁された原料は高値で国内を流通することになります。
④消費者の購買行動
物価高は国民の財布のひもを固くしますから、消費意欲が減退することで企業の利益も減ってしまいます。
賃上げによる収入増加が上手く組み合わさってくれれば消費者と企業がwin-winになれますが、タイミングが合わないと国民の消費行動に悪く影響します。
⑤資金調達面の負担増
金利の上昇によって銀行の貸出金利が上昇すると、企業の資金調達に際して利息負担が膨らむことになります。
企業としては上で見たように各種のコスト増などで必要な資金需要が増大している状況であるのに、借り入れにかかる負担が増えてしまうとダブルパンチとなります。
⑥人件費の増加
物価高と賃金上昇は国策として並行して進められますから、従業員の賃金上昇圧力により人件費が増加します。
インフレによる倒産増加が危惧される
物価高に企業が対応できないと倒産リスクが上昇します。
実際に2024年にはインフレに起因する倒産が増加したデータがあります。
企業データを扱う調査機関によると、物価高に起因する倒産件数は2023に急増し、約800件弱の企業が倒産したというデータがあります。
2022年は300件強だったインフレ倒産が2023年で急増した形になり、2024年の上半期ですでに400件超というデータも出ています。
2024年上半期にインフレ倒産が起きた企業の業種別の内訳をみると、建設業が最多で124件、次いで製造業109件、運輸・通信業が91件、小売80件と続いています。
建設、運輸、製造と聞くとまさにファクタリングと相性の良い業種ですね。
もしこれらインフレ倒産をしてしまった会社がファクタリングをうまく活用できていたら、もしかしたら存続が叶ったのではないかと思ってしまいます。
インフレ・金利上昇への対策はどうする?
ではインフレ・金利上昇時代に企業はどのような対策が求められるのでしょうか。
以下で見ていきます。
①業務効率化によるコスト削減
徹底した業務の効率化を図ることで経費を圧縮し、余計な支出を極力回避します。
初期費用は掛かるかもしれませんが最新のテック技術やAIを導入して長期的に無駄な支出を減らせるようにしましょう。
②調達ルートの再考
仕入にかかるコストの見直しを図るため調達ルートを再検討します。
同じ性質のものであればより安く調達できる方が有利です。
ボリュームディスカウントのメリットがある場合は優先して考えましょう。
③人材確保の効率化を図る
より優秀な人材で少数精鋭を目指す方がコストは安く済みます。
これまで年齢のバランスを考えて毎年一定の人材を確保していた会社も、今後は定期採用にこだわらず適時に優秀な人材を獲得していく姿勢が必要かもしれません。
④資金繰り表の作成
会社に流れる資金の動きを把握し資金枯渇が起きないように資金繰り表を作成します。
資金繰り表を作成することで手元資金の量や近い将来必要になる支払い用の資金を把握できるので、資金ショートや黒字倒産の危機を避けることが可能になります。
⑤借り入れ状況の見直し
自社の借り入れの状況を精査して借入金利についても見直してみましょう。
より低金利のローンに借り替えが可能であれば、乗り換えを検討して返済負担の軽減を図れないか考えてみてください。
⑥ファクタリングの活用
借り入れや融資は返済に係る負担が事業計画に悪い影響を与えますし、金利が上昇する時代になりましたから利息負担の増加が予想されます。
借り入れに頼らない資金調達法であるファクタリングは融資と比べて多くのメリットがあります。
借金ではありませんから利息はかかりませんし、返済という概念自体がありませんから返済期日までに弁済金を用意しなければならないといった負担も生じません。
上でも見たように建設や運輸、製造などの業種は支払いサイトの関係でファクタリングと特に相性の良い業態ですので、資金繰り改善に大いに役立てることができます。
まとめ
本章ではインフレ・金利上昇時代の経営について課題や対応のポイントを見てきました。
時代の変化は企業経営にも大きな影響を及ぼし、倒産件数も増加しているので経営者の方々は生き残るための戦略を考える必要がありそうです。
調達ルートの再考や業務効率化でコストを減らしつつ、必要な場面ではファクタリングによる効率的な資金調達が必要になるでしょう
金利や物価の動向からはしばらく目が離せませんね。