私たちは日ごろテレビやネットニュースなどから多くの情報を得ていますが、その中には経済方面の情報が多分に含まれています。
経済専門のニュースや情報収集を行っている人は別にしても、一般の人々も短いニュースの中で実は多くの経済情報に触れています。
触れてはいるけれど気が付いていないというのが正確かもしれませんが、能動的にキャッチする意識を持っておくと一般のニュースでも多くの経済情報を得られます。
本章ではビジネス視点で経済ニュースを読み解くヒントやポイントについて見ていきたいと思います。
一般のニュースでも経済ニュースはキャッチできる
経済専門チャンネルでなくとも、私たちが日ごろ何気なく見ているニュースからも実は毎日貴重な経済情報が送られています。
興味が無いと発信されても気に留めないので、そのままスルーされてしまうというのが実情かもしれません。
気にして聞いていると、普段見慣れたニュースキャスターの方が短い時間の中でも実に多くの経済情報を伝えてくれています。
例えば金相場については一般ニュースでも現在はほぼ毎日取り上げられています。
これはトランプショックと強い関連があり、彼が大統領就任直後、あるいは少し前からすでに金相場は上昇機運が確実視されていました。
理由はトランプ流の経済政策がもたらす不透明さや不確実性で、リスクを嫌って安全な金にマネーが大量に流入するからです。
実際、現在ほぼ毎日「金の最高値更新」の発表がなされていますね。
実は金投資については日本の大阪取引所が中心市場の一つであることをご存じでしょうか?
金は現物と先物に大きく分かれ、現物の方はロコ・ロンドン市場が中心ですが先物に関してはニューヨーク・マーカンタイル取引所を傘下に持つグループとわが日本の大阪取引所が中心になっています。
金は不確実性に強い資産として有名で、どこかで戦争が起きるなど不安要素が強くなった時に買われて相場が上昇します。
ニュースでは金相場以外にも、米国や日本の雇用統計、株価指標、金利動向なども頻繁にアナウンスされています。
例えばお昼の短い10分程度のニュースの中でも必ず取り上げられるので、今後はぜひ意識して経済情報をキャッチしてください。
経済ニュースが読めるメリット
ここでは経済ニュースを読める、理解できることのメリットをまとめて見てみます。
①マクロ経済の視点を持てる
経済ニュースではGDP成長率、インフレ率、失業率などのマクロ経済指標が頻繁に取り上げられます。
これらの指標を理解することで、景気の動向を把握し企業の投資判断や市場戦略に役立てることができます。
②金融政策と市場の動向を知れる
中央銀行の金利政策や金融緩和・引き締めの動きは企業の資金調達コストや消費者の購買意欲に影響を与えます。
金利が上昇すると企業の借入コストが増加し、投資が抑制される可能性があります。
一般消費者もローンなどに影響しますし、経営者であれば資金調達時の金利などに影響します。
③産業別の影響に対応できる
経済ニュースは業界ごとに異なる影響を及ぼします。
例えばテクノロジー業界ではAIやクラウドの進展が注目され、製造業ではサプライチェーンの変化が重要な課題となります。
業界ごとのトレンドを把握することで経営判断を的確に行えるようになり、競争力を強化できます。
④地政学的リスクに対処できる
国際関係の変化は貿易や投資に影響を与えます。
直接輸出入に関わる企業はダイレクトに影響を受けますし、それら企業と付き合いのある企業も間接的に影響を受けます。
最近で言えば米中関係の悪化が半導体市場に影響を及ぼすことが予想されていますし、エネルギー価格の変動は製造業のコストに影響を与えます。
地政学的リスクを理解することで自社の事業戦略を適切に考えることができるようになります。
株価や金利、債券価格は相互に関連する性質がある
経済ニュースの中で取り上げられる株価や金利、債券価格や為替はそれぞれ独立してはいるものの、実際には相互に影響し合う性質があります。
これを理解しておくとニュースの読み解きが面白く感じられるかもしれません。
ここでは基本的な関係を押さえてみましょう。
経済が安定し成長が見込めるようになると雇用も安定し賃金も上昇します。
賃金が上昇すると国民の消費意欲が刺激され、さらに経済が活性化します。
経済活性により企業が儲かると、これに投資をしようと考える人が増え株価が上昇します。
景気が過熱し過ぎると良くないので、日銀(海外の中央銀行も同じ)は金利を上げて企業が資金調達しにくい状況に誘導し、景気の過熱を抑制します。
金利が上がると以前の低い金利で発行された債券の魅力が落ち価格が低下します。
その後、高金利で発行された債券の人気が上がって買う人が増えると株を売って債券を買う人が増え、株価が下落します。
また金利の上昇は通貨の魅力を上げることになるので、海外からのマネーが流入し通貨高となります。
世界経済は複雑ですので必ず上記の通りになるとは限りませんが、このように金利や株価などは相互に関係しあうものだということは理解しておきましょう。
まとめ
本章では経済ニュースを読み解くヒントやポイントについて見てきました。
普段何気なく聞いているニュースでも実は多くの経済情報が発信されているので、専門チャンネルを購読していなくても大方の経済情勢をキャッチすることができます。
報道される各種の経済指標の意味を知っておくだけでも有用ですし、一歩踏み込んで指標同士の関連まで理解しておくとより深く、有効に情報を活用することができるようになります。
普段あまり意識してこなかった人も、今後は日常のニュースで報道される経済情報に気を留めてみてくださいね。