日本は起業家がなかなか育たないと言われることがあり、実際に起業してもその後事業を長く継続させていけるのは少数とされています。
成功する起業家は具体性を持ったビジネスプランを明確に描いていることが多く、それがために自分の望む姿に近づけ、また周囲の協力を得られるので成功しやすくなります。
この回ではビジネスプランとはどういうものか、何のために、どのように作成するのか、成功に導くためのステップを見ていきます。

■ビジネスプランとは?

ビジネスプランは想定する事業を成功に導くための道しるべのような存在です。
例えば何かのビジネスアイデアがひらめいたとしましょう。
「この資源を活用して儲けられないだろうか?」「このサービスに需要があるに違いない」などとアイデアがひらめいたとして、そのままではすぐに儲けを生み出すことはできません。
最初にビジネスアイデアの存在があり、そのアイデアを使って実際どうやって利益につなげるのか、これを考えるのがビジネスプランです。
ビジネスプランは自分が今持っているアイデアの明確化ができる他、実務面では資金調達をする際に必要になったりもします。
ビジネスの成功に向けて課題の整理に用いたり、社内外の協力者集めに利用されることもあります。
似たようなものに事業計画書があり、ビジネスプランとはまた異なるのですが、ビジネスプランは事業計画書を作成する際の土台にもなります。
ビジネスプランそのものはかなり自由性があるもので、例えば「ビジネスプランコンテスト」などの形で若手起業家や学生起業家などがビジネスプランを競う大会などもありますね。
自由な発想で柔軟に物事を考えられる若者を見ていると、なんだか頼もしく思えてしまいます。

■ビジネスプラン作成の5つのステップ

ここではビジネスプラン作成の5つのステップを見ていきます。

①市場分析

自分が考えている事業内容の市場規模はどれくらいなのか市場規模の分析を行います。
市場分析は専門機関が行うイメージがあるかもしれませんが、個人でも公開されているデータを調べることである程度の市場分析が可能です。
国や自治体、あるいは民間のシンクタンクなどが様々な調査を行い、そのデータが公表されているので、ネット上の調査だけでも役に立つ情報が多く手に入ります。
対象地域の人口や世帯の種類などのデータ、地域別に多い年齢層などのデータも知ることができますから、どのエリアでお店を出すのが有利か、提供する商品やサービスはどういうものが刺さるかといった構想が可能です。
公的なデータだけでなく、今は検索すれば知りたい情報のほとんどを入手できる時代になっています。
事前リサーチでネット検索を存分に活用しましょう。

②競合分析

ビジネスプランの作成で若干後ろ向きになりがちなのが競合分析の段階です。
よほどニッチな業態でなければ必ず競合する他社がいますから、その存在を意識して競争に打ち勝つための方策を練る必要があります。
構想する事業内容と競合する他社を洗い出し、どのような点で競合が発生するか、競合する度合いや自身の優位性や弱みなども客観的に見ながら立ち位置を考えます。
例えば出店を考える地域にどれくらいのライバル店舗が展開しているか、顧客の奪い合いがどれだけおきそうか、その際に自社はどの点で優位性を持てそうか、逆に相手のこの点に勝つのは難しいので競合が起きない製品のラインナップにしたほうがいいかもしれない、など、競争相手を意識して分析を行います。

③訴求対象へのヒアリング

自社の製品やサービスが実際の市場ニーズにどれだけマッチするのかは机上の想定だけでは測りきれません。
そこで商品やサービスの提供を想定する層に実際に試してもらい、満足度を調査するヒアリングが実施されます。
試供品の提供や、無料あるいは低価格でサービスを体験してもらい直に感想を聞くというのが最も手っ取り早い方法です。
この調査の結果、改善すべき点が見つかったり想定したものとは違う所に顧客満足を得られた場合は製品やサービスを改良することができます。
もし試供品の提供が難しい場合や、できるだけ初期費用を掛けたくないという場合、先行する競合他社の製品についてアンケートを行うということもできます。
先行品について顧客がどの点に満足を感じているのか、逆に不満を感じているのか調査し、自社の製品やサービス開発の参考にします。

④製品やサービス内容、強みの明確化

競合他社の製品やサービスの存在を前提に、自社製品やサービスの内容を明確にして、その強みやアピールポイントの引き出しを行います。
単純に値段が安いことをアピールする価格競争では今の時代生き残るのは難しいので、それ以外の利点を見極めてアピールするようにします。
例えばアフターサービスを付けて安心感を得てもらうなど付加価値を付けて訴求することができますし、開発力に自信があるならば他社製品と比べて「この機能が優れていますよ」とアピールすることができます。
ダイ〇ンの掃除機などは強力な吸引力と、その吸引力が落ちないというところに強みを見出し、そこに訴求していますね。
他にも例えば「電球一個の交換からOK」など高齢者向けのサービスで機動性をアピールしたり、「夜間でも即座に対応」など時間的な価値に訴求することもできるでしょう。
提供する製品やサービス、訴求対象となる相手によってアピールポイントは比較的柔軟に考えることができるので、自社の強みを生かした製品やサービス開発につなげてください。

⑤販売戦略の策定

販売対象となるターゲット層を具体的に絞り込むことで効果的な遡及が可能になります。
訴求対象を具体的に想定する「ペルソナ設定」が有名で、どこに住んでいて、年齢は何歳で、家族構成は4人で、職業は会社員など、製品やサービスを売り込む相手を具体的に想定します。
そしてこのターゲットに対してどのようにして製品やサービスを届けるのか、販売チャンネルを考えます。
顧客に対して直接販売する方法としては店舗を構えて誘客を図ったり、ネットショップなどを開設するなどの方法があります。
直接販売以外にも、小売店などを介して消費者に製品を届けるということもできます。
小売店等を介した販売方法は直接販売と比べると顧客の反応を測定しにくかったり、宣伝や誘客行動が直接取りにくいなどのデメリットがありますが、販売中も自身は製品生産などに時間を割けるので大量生産、大量販売の場合は向いています。

■まとめ

本章ではビジネスプランとはどういうものか、作成手順と共に見てきました。
ビジネスアイデアを形にするための手段、ツールとしてビジネスプランがあり、市場分析や競合分析などを通して具体化していきます。
やったことが無いといまいちイメージが持ちにくいかもしれないので、機会があったらリアルやネットなどでビジネスプランコンテストを視聴してイメージを捉えると効果的です。
今回は一応セオリーの手順も確認しましたが、ビジネスプランは自由性があるものですので、ぜひ創造力に富んだビジネスプランの作成に挑んでくださいね。