弊社が手掛けるファクタリングは資金調達手段の一つであり、借り入れとは全く異なります。
借り入れや融資と比較して多くのメリットがあるため業界全体としても取引数が顕著に伸びている印象です。
認知度的には確実に向上しているとはいえ、詳しい仕組みまでは知らない、注意点やポイントを知りたいという人も多いと思います。
本章ではファクタリングの仕組みから他の資金調達手段との違い、実際の利用方法やメリット・デメリット、利用におけるポイントや注意点まで、徹底的に解説していきますので、ぜひ参考になさってください。
ファクタリングは資金調達手段の一つ
まずはファクタリングの基本的な性質から押さえます。
ファクタリングは普段掛け取引を行っていて、自社の製品やサービスを掛け売りしている場合に利用できます。
掛け売りをすると、買い手からはすぐに代金を頂くことができませんが、その代わりに期日になれば代金を貰える権利「売掛債権」を手にすることになります。
この債権を売却して現金化するのがファクタリングです。
融資取引は貸金取引ですので、法律上は金銭消費貸借契約となります。
当然、利息を付けて返済する義務が発生しますが、ファクタリングは債権の譲渡取引ですから、利息という概念はありませんし、返済の義務もありません。
イメージとしては貴金属や骨とう品を売却するのと似ていて、もっとイメージを湧きやすくするならば売れ残った在庫を売って現金化するようなものだと思って頂いて結構です。
ここではまず、借り入れのように他者の資本を当てにした資金調達とは違い、自社が保有する資産を活用して自力で資金調達をする手段であるということを理解しておいてください。
融資や売掛債権担保融資との違い
一般的な融資の他にもう一つ、ファクタリングと間違われやすいものに売掛債権担保融資があるので、こちらも押さえておきます。
売掛債権担保融資はノンバンクなどが手掛ける融資商品の一つです。
「売掛債権」という言葉が入っていますが、これは売掛債権を担保にしてお金を貸し出すもので、これも金銭消費貸借の部類に入ります。
融資ですから当然返済の義務が生じ、利息も取られます。
ぱっと見、ファクタリングと混同しやすいので、違いを覚えておいてください。
ファクタリングの利用形態（二社間取引）
次はファクタリングの利用形態についてです。
ファクタリングには二社間取引と三社間取引の二種類の契約形態があり、それぞれロジックが異なります。
まずは二社間取引のロジックと取引の進行過程、注意点などを見ていきます。
二社間取引は債権を譲渡する企業とファクタリング業者の二社間で取引を進めるもので、売掛先の企業は取引関係に入ってきません。
売掛先に知られずに債権譲渡ができるので、信用面で不都合が出ることを避けられます。
取引の進め方を以下でざっと押さえます。
①売掛金の発生
②債権譲渡企業とファクタリング業者で契約締結（債権の権利はファクタリング業者に移行）
③売掛金は約束の期日に通常通り入金される
④債権譲渡企業が③の資金をファクタリング業者に移送する
二社間取引では売掛先は債権譲渡の事実を知りませんから、売掛金は約定した期日に債権を譲渡した企業に通常通り支払われます。
しかしその債権の権利は②の契約ですでにファクタリング業者に移っていますから、その資金をファクタリング業者に移送しなければなりません。
そこで注意を要すのが、④の前段階で誤って資金の使い込みが発生してしまう例です。
売掛先からは一般的に口座振り込みの形で支払いがされることが多く、手元にある現金のようにその資金だけを他に寄せておくということができません。
入金された売掛金を意図せず他の支払いに流用してしまう危険があるので、トップの経営者だけでなく、資金管理を担当する社員の方とも意思疎通を図り、資金の使い込みが発生しないように注意してください。
精算金の移送は分割が認められず、一度で全額の精算が必要です。
これができないと、資金を使い込んだ責任として横領など刑事責任を問われる可能性もあるので、十分注意してください。
二社間取引は信用面で影響が出ない秘密性と、最短即日で資金化が望める迅速性において強みを持ちます。
ファクタリングの利用形態（三社間取引）
もう一つの利用形態として三社間取引があります。
これは売掛先の企業にも取引当事者として参加してもらう方法で、事前に売掛先の合意を取る必要があります。
取引の進行過程を見てみましょう。
①売掛金の発生
②債権譲渡企業、売掛先企業、ファクタリング業者の三者で契約を締結
③売掛金の支払期日が到来したら、売掛先がファクタリング業者に支払いを行う
三社間取引では売掛先が契約当事者となっていますから、売掛金の支払いは債権譲渡企業を経由する必要がありません。
ですから支払期日が到来した段階でファクタリング業者に直接支払われます。
精算対象の資金が債権譲渡企業を経由しないので、上で見たような資金の使い込みを心配する必要はありません。
ファクタリング業者にとっては、ほぼ確実に資金の回収が望めるので手数料の面でも優遇することができます。
個別のケースにもよりますが、二社間取引では概ね債権価格の10％～30％程度となる事が多いところ、三社間取引では3％～9％程度に抑えられます。
手数料の面では二社間取引よりも有利な反面、売掛先の合意を取るために若干時間を取ることと、債権譲渡の事実を知られることで信用面で影響が出る可能性があることに留意が必要です。
それでも、最近はファクタリングによる資金調達が一般化していますし、業界によっては債権譲渡が普通にみられます。
むしろ喜んで三社間取引に協力してくれる例もよく見られます。
二社間取引と三社間取引のどちらが良いか迷われる場合はぜひ弊社にご相談ください。
弊社では数多くの取引をまとめてきた実績がございますので、状況に応じた最善の方法を提案させて頂きます。
三社間取引で進める場合は、必要に応じて売掛先の合意を取るためのお手伝いもさせて頂きますので、ぜひお気軽にご相談くださいませ。
融資と比較したファクタリングのメリット
ここでは融資や借り入れと比較した場合のファクタリングのメリットをまとめて見てみましょう。
①保証人や担保が不要
貸金取引の場合、融資先が返済を焦げ付かせる可能性があるので、ほとんどのケースで保証人か担保の提供を求められます。
ファクタリングは返済という概念自体がなく、売買対象である売掛債権自体に金銭的価値を見るものですから、保証人や担保の用意は一切不要です。
売掛債権さえあれば現金調達できるので、不動産などの担保を保有することが少ないIT業界などもファクタリングをよく利用しています。
②ノンリコース取引である
ノンリコース取引とは、売掛先が倒産するなどして資金の回収が望めなくなった場合でも、その責任はファクタリング業者が負うというものです。
仮にそのような事態となって資金回収が望めなくなった場合でも、債権譲渡企業は債権の買戻しなどに応じる義務はないので、安心して取引に臨むことができます。
③最短即日で現金化
二社間取引なら最短即日、三社間取引でも数日以内には資金調達が叶います。
「週末までに資金が必要」など資金ショートの危機にも迅速に対処できます。
④信用面の影響を避けられる
二社間取引を採用する場合、売掛先に秘密にして事を進めることができるので信用面で影響が出ません。
売掛先だけでなく、業界内でも債権譲渡の事実を知られたくないという企業様もいらっしゃいますので、その場合は二社間取引が安全です。
⑤赤字や税金の滞納があっても利用できる
赤字があると金融機関は融資に及び腰になりますし、税金の滞納があればほぼ間違いなく融資を否決されます。
税金が支払えないのに借金の返済ができるとは考えられないからです。
しかしファクタリングは「返済」自体が無いので、売掛債権さえあれば赤字や税金の滞納があっても利用できます。
⑥オフバランス化が可能
ファクタリングは売掛債権という資産を売却するので会計上は資産の減少となりますが、これにより少ない資本でも効率的に利益を生みだしているとしてROA（総資産利益率）の上昇につながります。
財務諸表の見た目が良くなり、取引先の開拓や助成金の申請などの際に財務諸表をチェックされる場面で有利になります。
借り入れをすると借金が増え、これは負債の増加を伴いますが、借金に頼る経営と見られて相手方の印象が悪くなります。
ファクタリングは借り入れとは違い、他者の資本に頼りませんので負債は増加しません。
二つの意味で財務諸表の見た目が向上するメリットがあります。
知っておくべきデメリットは？
良い面だけでなく、デメリットについても知っておきましょう。
①手数料がかかる
ファクタリングを利用するには上で見たように一定の手数料がかかります。
手数料負担を抑えるには三社間取引が有利です。
②必要資金に満たない可能性がある
ファクタリングは売掛債権の売却ですので、その価額以上の資金調達は望めません。
必要額に満たない場合、別途借り入れと併用するなどの工夫が必要です。
③一括精算が必要
二社間取引では一旦債権譲渡企業を経由して精算が行われますが、その際に分割払いは認められず、一括での精算が必要です。
④売掛先の信用状況で利用できないこともある
ファクタリングは債権譲渡企業に赤字や税金滞納があっても利用できるのが強みですが、売掛金を支払う売掛先企業の信用が重視されるので、こちらの経営状態が良くない場合、ファクタリング取引を断られることがあります。
⑤債権譲渡登記が必要な場合がある
二社間取引では売掛先企業が取引に参加しないことから、ファクタリング業者としては債権の二重譲渡のリスクを負うことになります。
このリスクを避けるため、債権譲渡登記を求められることがあり、その費用はファクタリング利用者が負います。
また債権譲渡登記は誰でも閲覧できるため、もし売掛先が登記簿をチェックすれば債権譲渡の事実を知られることになります。
ただ、何もないのに登記簿を調べられることはないので、知られるリスクはほぼないと考えて差し支えありません。
また三社間取引では債権譲渡登記は不要です。
⑥悪質業者に注意
ファクタリング業界は現状で強い法規制がなく、参入も比較的容易です。
そのため質の良くない業者も少数ながら存在しているとされ、このような業者と取引をしてしまうと、手数料を多くとられたり、悪質な場合は債権譲渡の事実を取引先にバラすなどと脅されることもあるようです。
取引相手となるファクタリング業者の安全性や信頼性は十分確認するようにしてください。
実際の利用の際に確認すべきポイント
では実際にファクタリングを利用する際、どのような点に留意して進めればよいかポイントを見てみましょう。
①手数料は相場から外れていないか
上で見た手数料の相場から大きく外れる場合は安全性の面で注意信号です。
もし法外な手数料を提示されたら取引は控えた方が無難です。
②取引形態を選べるか
ファクタリング業者の中には二社間、三社間の取引形態を自由に選べないところもあります。
手数料欲しさに二社間取り引きしか認めない、リスク回避を最優先して三社間取引しか認めないというようなことがあると、利用者の都合が無視されて有利な取り引きが望めない可能性があります。
取引形態を無理強いするようなところは避けるのが無難です。
③契約書控えの交付があるか
悪質な業者は契約書を作らなかったり、契約書の控えを交付しないところもあるようです。
「後で柔軟に契約内容を変えられるから」などともっともらしいことを言われるようですが、契約書が無いとトラブルがあった時の拠り所がないため、利用者にとって不利になる危険があります。
契約書を作らない、控えを交付しないような所とは取引を控えましょう。
まとめ
本章ではファクタリングの仕組みや利用方法、メリット・デメリット、注意点などをまとめて見てきました。
ファクタリングは借り入れとは全く異なる資金調達手段で、担保や保証人が不要、そして迅速、確実に資金調達ができます。
実際の利用形態は二種類あるので、状況に応じて都合の良い方を選べます。
多くのメリットがある一方、デメリットや注意点もあるので、これらを理解したうえで利用を検討してください。
